昨年から一緒に木のプロダクト開発などを進めている手作り注文家具屋 MINATO FURNITUREこと、湊 哲一(みなと のりかず)さん。

湊さんの出身地である秋田県能代市は、かつて林業で一時代を築き、
いまも多くの木材関係の会社があります。
湊さんが、あきらめきれずに家具作りを職業にするまでのこと、
釘や塗料を使わずに、無垢の木にこだわるスタンス、
故郷の森やものづくりに、これからどう関わっていきたいと思っているのか。
肩ヒジはらずにゆるりと
ふるさとと、今の立ち位置とを、どこかリンクしていきたい。
そんな想いをもしあなたが持っていたら、何かが共鳴して拡がっていくようなお話です。

 

100年でも長持ちするものを作りたいな、と思った

 


※ 左が機械で磨いた材、右がそれにさらにカンナがけした材。艶が全然違うのがすぐにわかる。

 

—— いまの家具の作り方、無垢材で、できるだけ釘を使わないで、というのは最初からですか?

最初からですね。組み手に興味があって。
江戸指物という、釘を一切使わない技術があるんですよ。

さすがに仕事をしていると、
どうしても使わなきゃいけないところってどんどん出てきちゃうんで、
100%使いませんとは言ってないんですけど。

 

—— ほとんど塗装もしないんですよね?

ですね。塗装は基本的にオイルしかやりたくない・・・。

一回やってみたんですよ、お客さんの仕事で、塗装も。

だけど、うちの工房では、塗料を吹き付ける施設はないし、
どうしても基本的に、体に害がある材料が多いものなんで、体調悪くなっちゃったりして。

もしも塗装したモノが欲しいという人がいたら、別のところに任せるかな。
今はだいたいは受けてないですね。

 

—— 家具づくりは性格的に向いていると思いますか?

けっこう細かい作業をするのは好きですね。

さわりは塾で教えてもらって。
でもそこでやれることって、すごい限られてた。
今でも作ったことないのもあるし。

となると、独学だったり、5人の仲間でこうしたらいいんじゃない、とか、
話しながら練習したりとか、最初のうちはよくしてましたね。

僕の作ってるのって、表に見えない、細かいものが多いんですよ。
組まれちゃうと全くわからないような。

それが好きで来てくれるお客さんが、多くなってきたんですよね。

 

—— 自分の家の中には、自分で作った家具はありますか?

いや、あまりないですよ。
ちゃぶ台とか、パソコンデスクとか。
試作とか展示やったときに作ったとか、そういうのですね。

本当は簡単に作っちゃえばいいけど、なかなか簡単に作るというのも・・・
ちゃんと作ろうと思うとなかなか時間がなくて。

 

—— なるほど。性格ですね。

ほんとに(笑)

 

—— 話が飛びますけど、子どもが生まれて変わったことはありますか?

家具もそうだけど、ワークショップとかに関しては、思い切り変わりましたね。
それまでは、あんまりやりたいと思ってなくて。

子どものためにやりたくなった。
間伐材使ったアイススプーン作りとか、一気に増えましたね。

 


※ 作業場から見える風景。目の前の田んぼの向こうには、竹林が心地よい音を奏で揺れている。

 

—— 秋田なり、東北で、木工やってる人との交流はありますか?

ないですね。まだ会ってないです。
いつも地元に帰ったら、周りに聞いたりするんですよ。
でも同世代がなかなかいなくて。

会いたいですね。

 

—— じゃあ今度ぜひ一緒にまわりましょう!

はい。ぜひ!

 


※ 機械や道具でいっぱいの作業場。

 

—— これからどんなこと、できそうでしょう?

そういえば、以前、ほうき作ろうと思って。
ほうきを作ってる人あまりいないな、って思ってたんですよね。

とんぶりの草ってほうき草じゃないですか。
いっぱい持ってきて、作ろうと思ったけど、めんどくさくてやめた(笑)

 

—— 実は昨年の冬、ワラ細工でストラップを作るワークショップを企画をしていたんですよ。
震災の影響で中止になってしまったんですけど。
卓上ほうきみたいになって、とてもかわいらしいものでした。

あー、いっすね、そういうの。

あと、横浜の森を間伐してる市民団体とか、いっぱいあるんですよ。
今度、そこを対象にワークショップをやるんですけど。

公園から木がいっぱい出てくるんですよ。
シラカシ、シイの木、ケヤキ、イヌシデ、エノキ、サクラ、とか。
だいたい、売り物としては見かけないじゃないですか。
おもしろいな、って思ってて。

そういうのが実は、秋田の山の中にもあって、
脇に捨てられてるんじゃないかな、と思って。

 

—— きっとありますよね。

この前実家に帰ったら、能代の材木屋さんがつぶれたらしくて、
持ってっていいよ、て言われたんですよ。

一本、柾目のすごいきれいな木があったんですよ。
それ全部、薪に火でくべて燃やしちゃってて!!!

すげえもったいないことしてるな、と思って、かなりの数確保してきたんですよね。
山の方に住んでる人たちは何でもかんでも燃やしちゃうから。

 

—— 山の方では、木とはそういう付き合い方ですもんね。

いい木を燃やすのはやめてくれ!みたいな(笑)
価値見いだせそうなところありますよね。

横浜で話してると、完全なる違いは、秋田は製材所が多い、っていうことですね。
横浜はなくて、そこが課題になってる。
秋田は強いですね。

横浜の製材所は、外部から僕らが丸太を持っていっても、
全然やってくれないです。

どういう木が来るかわからないし、材木屋さんも変に加工しちゃったら困るから、
というのもあるだろうし。

新木場とか行けばやってくれますけど。
だから、もったいないことばっかりですよ。

 

—— いま一緒にやらせてもらっている曲げわっぱのプロジェクトも、いいかたちにしたいですね。

うん。
あと、漆は絶対やりたいんですよね。
能代の春慶塗りも、絶対復活させたい。

 

—— そうですね。引き続きよろしくお願いします!

こちらこそよろしくお願いします!

 

(完)

INTERVIEWEE’S INFO
湊 哲一
MINATO FURNITURE
〒227-0031
神奈川県横浜市青葉区寺家町337
TEL&FAX: 045-963-0206
E-MAIL: info@minatofurniture.com
Website: http://minatofurniture.com
田園都市線青葉台駅より東急バス『鴨志田団地行き』で鴨志田団地で下車
小田急線柿生駅より小田急バス『市ヶ尾行き』で早野で下車 徒歩10分